「Ver.3」進行情報

*今まで何をしてたか
 これまでノラ犬のように自由かつ不確実な生活を続けていて、困ったことに、そんな生活が性に合っていることを知っていたにも関わらず、ここ3年ほどヴェンチャー企業での製品開発などという、さらにヤクザな仕事に関わってきました。おかげさまでプロジェクトはしっかり大失敗して、この仕事は終わりました。心底わかったのは、私にはマネーゲームの才能は皆無ということ。確かに、目の前で数千万円のお金が飛び交うのは面白いですし、ゲーム中は金銭感覚が狂います。「なに、300万円なら安いでしょ」なんて私が口走っていたのですから、自分でも笑っちゃいますよ。それも自分の金ではなく、投資家のもの。考えてみれば無責任ですね。でも、無責任さに気付かず、一生そんなゲームをしている人たちの存在も知りました。人生、死ぬまで勉強になります。やはり私には、秋葉原で「あれっ、千石より秋月の方が安い」なんて言ってるマネーゲームの方が合っているようです。
 でも、悪いことばかりではなく、英語で多少の喧嘩も出来るようになりましたし、readingとhearingの能力は格段に進歩したと思います。もちろんAsian Englishのブロークンですが。それと、台湾と中国に友人もできました。台北の電気街(電脳街といいます)の地理にも明るくなりました。千石みたいな店が2軒もあります! ドラゴンのようなCD-R屋に至っては30軒はあるでしょう。今度は「買い出し」旅行に行きたいですね。

*やっと自由に
 んなわけで、やっとすべての時間が自分の自由になるようになりました。もちろん食い扶持を稼ぐことも大切ですので、あまりに好き勝手はできませんけれど、ver.3制作にさける時間が圧倒的に増えたのは事実です。さっそく試作機を数台作ってみました。やっぱり低周波アナログが一番! 少し小物を作って勘を取り戻したら、ご希望の多いリング・モジュレータを作りましょう。これはご予約の方々に引き渡す予定でおります。余ればオークションかな?
 ver.3では若手が設計した新機種も登場させる予定です。さすが若いだけあって、良く言えば「怖い物知らず」、普通に言って「斬新過ぎて使えるかどうか疑問」の、これまでに無かった珍妙なエフェクターが3機種はあります。ですから、これまでのハンドメイドとは違って、私以外の設計者の新マシンも入ってくることになります。世代交代の意味では歓迎すべきことでしょう。その若手とは、私が専門学校の講師をやっていた頃の教え子で、八木クンといいます。まだ22歳ですが全体的な能力は私以上です。あとは経験を積んでくれれば、とんでもない大馬鹿になること請け合いの人物。どこぞの能書きだけ立派で理論・技術欠如の設計者とは大違いです。(あっ、誰とは言っていませんよ。だけど錆びたトランス巻き線で配線すれば音が変わるとは……)
 ま、正直に書きますと、我家の経済状態を考慮しつつ、設計・試作・製作・記事作りを進めて行きます。宝くじにでも当たれば問題は解決ですが、そもそも宝くじを買っていませんから可能性はゼロですね。だんだんと尊敬するキルゴア・トラウトに似てきました。あんなに太ってはいませんけれど。トラウト氏に関してはカート・ヴォネガットの小説をご参照下さい。

*出版社が決まりそうです
 あくまで未定ではありますが、私が勝手に第一候補と考えていた洋泉社がリリースを引き受けてくれそうです。ここは小さいながら「出版文化」を考えてくれる出版社で、文学などのタームの長い書籍も扱っています。現に私の「電気知識」を出し続けてくれています(なんと、既に1万部を超えました。皆さんありがとう。自分で書くのもヘンですが、技術系の本で1万部は夢のような話です)。
 これは非常にラッキーなことで、現在の出版の状況から考えれば、どこも引き受けてくれなくても当然なのです。大手の一流出版社でも、出版企画を持ち込むと、内容の検討より先に「何部売れますか?」と訊かれるご時世です。そして、少しでも売れ行きが落ちると「即廃刊」。冒頭にも書いたように、どうせお付き合いするなら、人も会社も、お金より「文化」を考えてくれる相手を選びたいとつくづく思いますよ。

 そんなこんなで、更新を半年も放っておいて申し訳ありませんでした。と言って、次はいつ更新、と書けないところがつらいのですが……何か進展があったり、時間ができたときには書き足すか書き換えるかいたします。どうか期待せずに待っていて下さい。すべてについて「よろしく!」です。

2003年11月30日
大塚 明 記

■2004年02月24日追加分

 まず、多くの方から励まし(プレッシャーとも言う)とリクエスト(もっと原稿を書けという意味)をいただき、感謝します。皆様のメールを読むにつれ、掲載すべきマシンの数が少しずつ増えて行き、現在、当初予定の2倍くらいになっています。具体的には30機種以上。これが全部本当に載せられるかどうかは別として、とにかく回路を描いて基板製作を先行させています。現在完成している(音出しチェック済み)基板は、もう15種類以上になりました。本に載せるための回路CADやパターンCADも同時進行しています。
 もう少し数がまとまったら、完成基板の写真を撮り、一番面倒なケース加工に突入します。(最初に作るのはリングですので、一部の方、ご安心を) ところが!使いやすい傾斜ケースがどんどん製造中止。具体的には、タカチさんがTSシリーズ以外をディスコンにしてしまった。これには少々参っています。共立も関東圏での発売を中止したし、テイシンの傾斜ケースもご逝去。
 マシンを作り始めるとき、なんとなくですが「どのケースに入れるか」のイメージがあるのです。それがほぼ全部ケムリのように消えてしまいました。TDシリーズなどを眺めながら発想の転換を試みています。
 今度の本では、昔のver.1に掲載したものも再録するつもりです。また、新作は原則としてACアダプタ対応にします。古いマシンも改造して外部電源対応にするか、とか、いわゆるDCプラグをBOSS準拠にするかJIS準拠にするかなど、決めなければならない問題も多数ありますし、どっちに決めたにせよ、この外部電源の話は、しっかり説明しないとマシンを壊してしまいます。(ううう、解説部分が増えるなぁ)
 ハンダが「銀ハンダ」に変わりそうな状況も無視できません。鉛ハンダは、いずれ無くなるのだそうで、どうにも使いにくい銀ハンダの特性、傾向と対策も読み物にすべきでしょうね。現在、各種の銀ハンダを研究中です。
 ま、早い話、やることが沢山ありすぎて、どこから手を付けていいのかわからず、とりあえず盲目滅法(これ、禁止用語かな?)手当たり次第に、少しでも前に進めるべく努力中ではあります。
 本当は、その前に部屋を片付けて、パーツの整理をすべきなのですが(すでに、どのパーツがどこにあるのかわからん)、そんな面白くないことは後回し。これは誰しも同じではないでしょうか。
 いずれにせよ、ver.3は「何でもあり」の節操の無い本になることは確実みたいです。「作ってはいけない」禁断のエフェクタも何種類か紹介するつもりです。マシンのラインナップが決まったら、まずここでお知らせします。

■2004年03月12日追加分

3月12日現在、やっとケースへの組み込みを始めました。まずは「オーダー」が入っているRing Modulatorから。最初の1台は、いわばプロトタイプですから、これはヤフオク用です(もちろん完全動作します)。次に、その勢いを駆ってオーダー分+4台作るつもりです。つまり、リングは、とりあえずは「4台限定」になるでしょう。この回路図と基板パターン等はver.3にも載せますが、希少ICを使っているため、ver.3での目玉は、更に別のヴァージョンです。これもケース組み込みを待つだけ。ほら、やる気になれば私だって働くのですね。
ケースの「お化粧に」使えそうなインレタが、ほとんど廃盤になってしまったので、お化粧はケース前面をシールで覆うことで解決しました。CADとPSPでパネル・デザイン、聴こえは良いですけれど、実は窮余の一策です。
で、先日、ケースを大量に買った帰りのこと……

秋葉原ガード下のトヨデンは、たしか直販店なのに、どうしてSELとか他のメーカーのトランスを目立つ場所に置いているのでしょう。これは疑問ですねぇ、などとボーッと見ていると、並びのボリューム屋から何故か大声。「ええっ!そんなカーブのボリュームはね、特注品しかないの。どこ行ってもないよ。ま、お客さんが前金払ってくれて、納期3ヶ月ならウチでも作れるけどねッ。大体、常識だよ。10kCなんて、あるわけ無いじゃない。秋葉原中探しても無いよ。ウチにないんだから」云々。
よくわからないけど、要するに店員が客を罵倒しているようでした。虫の居所が悪かったのか、専門店なのに品揃えに無いことが店員の自尊心を傷付けたのか。どっちにしても、客は罵倒されるいわれはありません。ちらりと横目で見ると、お客さんは30歳くらいのエンジニア風の服装。10kCなど探しているところを見れば、多分卓のリペアなのでしょう。数分続いた罵倒の後、お客さんはゆっくりと店を離れました。
当然、私はあとを追いかけて、ツンツンと肩を叩きました。
「10kCですよね?」
「はい、10kC」
「いくつ欲しいんですか?」
「まあ5個もあれば」
「じゃ、付いて来てください」
でもって、あるお店にご案内しました。あるんですね、秋葉原中に1ヵ所、10kCを常備在庫している店が。案内する途中で、私は彼に「絶対に他人には言わないでください」と「いっぺんに沢山は買わないでください」とお願いしました。このお店の在庫が切れると、本当に秋葉原中から10kCがなくなりますから。もちろん彼はOKでした。
店に着いて、本当にあるのを見たときの彼の顔は忘れられません。私にお礼を言うのも忘れて「あった、本当にあった」と言っていました。私は別に、お礼を言われたかったのではないので、そのまま駅に向かいました。

その1週間ほど前、TVを見ていてビックリ仰天したことがあります。「ボランティアをしたいのだけど、どこで出来る?」というテーマの番組。アホ、コケ、ノーナシ! 一番簡単なボランティアは、グダグダ言ってないで、自分の家の前の道路を掃除すること。それがイヤなら、自分に対するボランティアとして、昼寝でもすればいいのです。
私の定義の中では、ボランティアとは、私自身が「したいからする」ことであって、結果として誰か(自分も含む)の役に立てばなお良い、そんな行為です。ただし、その行為を行なうについては、責任はすべて自分にあります。「どこに行けばできる」だの「区に登録する」だのという種類のものではないはずです。横断歩道で、足が悪くて速く歩けない老人がいたら一緒に渡ってあげる……そんな行為が基本になります。(いつの日か、遠からず私もそうなるのですから) 歩道で倒れている人を見たら、プータロであろうが「おっさん、大丈夫?」と声を掛ける。そんなことが自然にできなければ、いくら区に「ボランティア登録」しても意味はありません。
ただし、自分が無理をしてまでの行為は禁物。秋葉原の件でも、もし彼が「10kCを64個」なんて言ったら、私は案内しなかったでしょう。後日、私が買う分が無くなりますからね。つまり「わが身を捨てても」はボランティアではないのです。あくまでも「できる人が、できることを、できるだけ」が基本です。それ以上の行為をしたければ、フランチェスコ会の修道士になるべきだと思います(なりたいなぁ)。
ついでの、ボランティアの履き違えの好例をひとつ。
私が住んでいる地域では、区の出張所を溜まり場として「コミュニティ誌」を発行しています。これがまた、ごく一部の記事を除いて、ゴミ以下の内容。出張所がやっていることですから区民税で作っているのでしょう。事前に「そういうものに金を使ってもよいか」といった意見収集もなく、編集委員や発行人の公募もなく、要するに地域ボスが「地域活性化」のための割り当て金を消化する手段なのでしょう。
そのコミュニティ誌の最初のころには、発行元も発行人も、連絡先さえ書いてありませんでした。それがいきなりポストに入ってきました。どんな印刷物でも「責任者」は明示されていなければなりません(スーパーのチラシだって、発行責任はスーパーにあります)。明示の無い発行物を一般には「怪文書」と呼びます。そこで、私と父とで、やっと「発行元」を突き止め、出張所にネジ込みました。例によって「今、責任者がいない」とのことで、次の日に話し合いをセットさせました。
次の日の、編集担当のいいわけは、
「そんなこと言われても、こちらはボランティアでやっているので、責任はとれません」「怪文書、ですか?これ」「たしかに紙代と印刷代は、元は税金ですけど、作っているのはボランティアなので、そこまで言われる筋合いではないでしょう」「はいはい、わかりました。ボランティアでやっていて文句言われるなんて、ワリに合わないからやめます」等々、でした。
見事に「自分の行為の責任」が抜けていますね。ボランティアの意味がわからないヤツにボランティアの真似事をさせた出張所自身が、ボランティアの意味をまったく理解していないことが確認されました。

さて皆様、いかがお考えでしょうか?
 



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